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名古屋市立大学生による『セルフ・ディベロップメント・ゴールズ SDGs時代のしあわせコットン物語』書評のご紹介

名古屋市立大学生による『セルフ・ディベロップメント・ゴールズ SDGs時代のしあわせコットン物語』書評のご紹介

名古屋市立大学人文社会学部の学生4名による『セルフ・ディベロップメント・ゴールズ SDGs時代のしあわせコットン物語』(葛西龍也著、双葉社、2021年)の書評をご紹介いたします。

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自分が関わっている仕事の延長線上に、インドのコットン農家が借金を抱え、貧困に陥り自殺してしまうこと、子供は親の手伝いで学校へ行くという道が閉ざされているという事実に直面したときに、一人の会社員として何ができるのかを描いた著者の12年間の活動、葛藤、思いが詰まった1冊である。
本書を通して、私が心に留めておきたいヒントは人との繋がりを大切にすることである。特に心に残った言葉は「なんでも自分で突っ走ればよいのではなく、常に後輩や部下、チームと物事を進めないと、いざという時に永続性が保てないのだ」(p.125)、「変わろうとする自分であり続けることを目的に、志をともにできる新しい出会いを求めること」(p.239)である。自分一人ではなく、他者と共有し共に歩む重要性を学んだ。そして、それが偉大な力になることを本書から強く感じることができた。
PEACE BY PEACE COTTON PROJECTはインドのコットン農家の現実を知り、一人の会社員がはじめたプロジェクトであるが、人と人の強い繋がりが生んだプロジェクトでもあると私は考える。
本書は本当の支援とはどういうことなのか、どういう社会を持続可能な社会というのか、3方よし、しあわせ社会学の確立と実践の考え方を知ることができると同時に、自分の思いを形にする原動力を与えてくれる1冊である。(A.M.)

本書を読んで、人や風景との出会いから何かを考え行動をおこす力が、世界を変える可能性があるのだと思った。特に強く印象に残ったのは、葛西さんのこの出会いには偶然と必然があるということだ。たまたま目に入った軍手や壊れたブレーキ。このたまたま出会ったモノや人に何かを感じ、それを見過ごさずに心に留める力、そして次に行動を起こそうとする力が新たな出会いに繋がり、必然的に更なる発見や進展が得られるのだと思う。つまり、葛西さんには偶然を必然にする力があるのではないか、と感じた。そこに「インドの神」が存在するのかもしれない。
大学生の私には「事業を1から始める」ということに対して大きな壁を感じていたが、この本を読む中で、何かに突き動かされて「良心」ではなく「自分がやりたいこと」に従って行動することはいくらでも可能だと思った。本書を通じて葛西さんやプロジェクト、インドの現実に出会うことで、読者は何かを感じ、自分は何をやりたいのか考えるきっかけになるだろう。(N.O.)

この本を読んで、PBPコットン財団が現在の体制になるまでの決して容易とは言えない過程を知り、現在のインドや支援することが抱えている問題が垣間見えた。どれだけ考えや行動を尽くしても、実際に貧困問題などの問題の解決に繋がるのか、支援後より「良い」状況に好転させられるのかは分からないということ、本当の意味で、貧困状態にある人のためになることは難しいものだと感じた。ただ被支援者にお金を渡すだけでも、きちんと達成すべきことに使用されるのか分からないし、継続的な発展には繋がらず、その場だけ楽しめることを求めてしまう可能性もある。そもそも、達成しようと奮闘したゴールそのものや支援をするという構造そのものも、間違っているかもしれない。しかしながら、そのような正解のみえない状況のなか試行錯誤し、正解を探し続ける葛西さんらの姿勢に感銘を受けた。
支援することは「与えてやっている偽善」であるかもしれないが、それぞれの立場や状況があるなか尽力された葛西さんらを私は尊敬する。自分もPBPコットンで関わってきた方々のように誰かのために尽くすことを厭わないでいたいと思った。また、一消費者として、いや現代を生きる人間として少し立ち止まって、想像することを忘れないでいたい、そう思わせてくれる素敵な本だった。(M.S.X.)

私が本書の中で特に印象的だったことは、2点あります。
1点目は、「支援される人ができれば、支援されない人もできる」という言葉です。私もこの言葉を目にする前は、一部の地域でも改善されれば、どの地域も改善されないよりは良いと考えていました。ですが、それは「支援されない人」と関わっていないために、目を背けている事実だったのだと学びました。誰かを支援する際には、そうした事実を念頭に置いて活動する必要があると考えさせられました。
2点目は、物事を多方面から考えることと、そのために周囲の意見に耳を傾けることの大切さです。葛西さんは、現地の人々や事業の立ち上げに関わってきた人、また普段は異なる分野で活躍している人と活動を進め、その中で、自分が考えていなかった考えや問題を突きつけられる場面が記述されています。ですが、それら1つ1つにきちんと向き合って事業を再考していた点が印象的であり、物事を作り上げていく過程でこれは大変重要なことだと思いました。
私も、モノを変え、人の心を動かせるよう、自分自身が日々永続的発展をしていきたいです。(M.S.Y.)

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