現地パートナー
『チェトナ・オーガニック』 ABOUT CHETNA ORGANIC

組織概要

私たちの現地パートナーであるチェトナ・オーガニック(以下、チェトナ)は、2004年に発足しました。チェトナは、化学農薬・殺虫剤・遺伝子組み換え種子を使用しない有機農法でのコットンの栽培を、綿花栽培農家の貧困を削減する手段として、有機農法への転換支援と農家世帯の子どもたちへの教育支援を行っています。現在、アーンドラ・プラデーシュ州(テランガーナ州含む)、マハラシュトラ州、オディッシャ州の3つの地域で活動しています。

設立の背景

チェトナが発足した当時、綿花の栽培が盛んであるアーンドラ・プラデーシュ州(テランガーナ州含む)とマハラシュトラ州(オディッシャ州は2007年から支援開始)では、多くの綿花栽培農家は貧困状態にあり、借金苦による農家の自殺が多発していました。

綿花の栽培を始めるために、農家たちはシード・オーガナイザーという販売業者から、農薬や殺虫剤、遺伝子組み換えの綿花種子を購入します。これらは、綿花の収穫量を増加させ、害虫被害を防止すると外から持ち込まれ、瞬く間に広がりました。しかし、農薬や殺虫剤に含まれる化学薬品は土壌内の栄養素を破壊しました。さらに、防護マスクを持っていない農家はそうした化学薬品を吸引してしまい、健康被害も受けています。遺伝子組み換え種子を使うことについては、種子の発芽には大量の水を必要とします。乾燥する気候では、灌漑設備を用いて栽培しますが、そのような設備をほとんどの農家は持っておらず、十分な水を散布できずに種子が発芽しない場合が多くあります。

このようなリスクを抱えていても、綿花栽培が唯一の収入源である農家たちは、お金を借り入れて栽培し、生活していくしか方法がありません。自力で貧困の悪循環から抜け出すことができないのです。綿花を栽培し続けていくにつれ、借金が膨れ上がってしまうこの状況が原因で、農家の自殺が多発することもありました。

米ガーディアン紙によると、1995年から2014年の10年で27万人以上の綿花農家が自殺をしたと報道されています。
(参考:
https://www.theguardian.com/global-development/gallery/2014/may/05/india-cotton-suicides-farmer-deaths-gm-seeds)。

国に助けを求めても農村部では援助が受けられず、自力では貧困から抜け出すことはできません。孤立している状況では、十分な情報を得ることもできないため、農家の弱い立場を利用した中間業者から搾取の被害にもあっていました。

このような貧困の負の連鎖を断ち切るために、現代表のアルン・チャンドラ氏は、化学農薬や遺伝子組み換え種子を使わないオーガニックコットンへの栽培に転換し、農家世帯の生活水準を向上させるため、農家支援団体としてチェトナ・オーガニックを設立しました。

チェトナの支援活動

1.

化学農薬と遺伝子組み換え種子を使わない
有機農法への転換支援

チェトナがおこなう綿花の有機農法への転換支援では、
孤立している農家たちを自助団体(Self-Help Group)として束ね、
3年間のトレーニングを通して綿花の有機農法を指導します。

チェトナの支援を受けた農家たちで栽培・収穫したオーガニックコットンは、
国際フェアトレード認証やオーガニック繊維製品の国際基準である
GOTs(Global Organic Textile Standard)の認証を受けており、
その価格にはプレミアムが上乗せされます。
チェトナのスタッフは、綿花を公正な価格で買い取ってもらえるように、中間業者を挟まず、
直接アパレルブランドや小売り業者と綿花の価格交渉をして販売します。
このような支援活動で、農家の社会的・経済的な自立を促進しているのです。
有機農法への転換支援として以下の活動を行っています。

1.農家への研修(座学・実地)

農家たちが有機農法を学べるよう、
座学と実地で研修を行っています。

2.シードバンク

非遺伝子組み換え種子を保護し、
増やしていくための施設を運営しています。

3.土壌検査

有機農業に適した農地にするために、
チェトナの技術チームが土壌検査を行っています。

2.

子どもたちへの教育支援

綿花を多く栽培する地域では、児童労働が問題となっています。児童労働の問題には、
世帯での貧困が原因で子どもに教育を受けさせる余裕がなく生活のために働かせざるをえなかったり、
学校に通っていても農作業に駆り出され学校からドロップアウトしてしまったり、
そもそも教育の重要性が認識されていなかったりと様々です。
このように教育を受けられなくなってしまった子どもたちへ、
チェトナはPEACE BY PEACE COTTON財団と共同で、
就学、復学、奨学支援をおこなっています。

奨学金の支給

高等教育を受けるための奨学金を支給します。

ブリッジスクール

学校からドロップアウトしてしまった子どもたちが
普通学級へ復学できるよう、補修授業を行います。

MAAD/補助教員の配置

子どもたちが、地域の文化へ興味を持つよう、MAAD活動(Music:音楽、Agriculture:農業、Art:芸術、Dance:ダンス)の授業をおこなう先生たちを学校に配置します。

綿花栽培以外のスキル・ディベロップメント

綿花栽培農家以外の選択肢を持つために、
服の仕立てなどのスキルを磨きます。