PBP

2017-2018 Chetna Organic からの活動報告

今年度の活動は、インフラ整備が遅れた辺境にあり、政府の支援も十分に受けられないTelangana州の8地域、 Odisha州の6地域でプロジェクトが施行され、314の村、10,232人の農家に手を差し伸べることができました。農薬を多用する慣行農法から、環境と人体へのリスクを軽減し綿と穀類による増収を見込める有機栽培への転換支援は拡大しています。農家に経験と知識が蓄積され、生産力が向上しています。

1有機農法への転換支援

有機農法への転換支援は、これまで9,232人の農家を受け入れてきました。今年度は新たに1,000人の農家を受け入れました。農地に、持続可能な農業実践法(SAP)を取り入れることで、農家の生活の質を向上させています。

豊かな土壌は、収穫量の増加と大きく関わっています。しかし、農家の知識不足と行政の不適切な方針が、土壌の質を酷く低下させていました。そのため、地域の土壌に適切であり、低コストで行うことができる様々な改善策(土壌改良・土壌再生方法や、ミミズ堆肥・NADEP方式堆肥の作成方法、有機栄養物調整剤の使用方法、バイオマス苗の育成方法)が、チェトナによって農家たちに指導されました。

有機農法の研修の実施と規模の拡大は、より多くの農家の出費を減らし、収入を増加させました。今年度の有機農法の導入で、2,950トンの有機堆肥と液体肥料が生産されました。


堆肥の作成

生産された堆肥は実際の農地で使用されました。その結果、農家が化学肥料や農薬にかけていた4,155,000インドルピー(2017年時点で約684万円相当)の負担を削減することができました。

土地を所有しない農家には政府から土地が与えられますが、その土地のほとんどが耕作不可能な状態です。そのため、PBPプロジェクトの下、計30エーカー(約12平米)の荒れ地を耕作し、地域の農家に分配しました。1エーカー(4,047平米)あたり20~25kgの種子が植えられ、短期間で土壌の質が高まりました。

有機農法の導入による土壌の質の変化を確認するために、毎年土壌テストが行われます。今年は農家から、150の土壌サンプルを収集し、研究所で分析しました。土壌テストの結果を農家と共有することで、有機農法を行うメリットを広く認知してもらいました。今では、農家同士でも有機農法への転換を勧めあっています。


土壌サンプル収集

1-1農家の研修と農地見学

チェトナは土壌の質を高める有機農法の導入で、農家の生産力向上と収入増加を見込んでいます。そのため、チェトナは農家支援の一環として、農家たちのミーティング、オリエンテーション、研修の考案と実施を行ってきました。このように、有機農法転換支援の影響を広げる人材育成にも注力しています。

研修に関して、農家たちがこれから自立して有機農業を行えるように、トレーナー研修、ファシリテーター研修が実施されました。干ばつや洪水など、実際に農家が直面した問題に基づいて考案されたこの研修は、農業で発生する様々な事象に対応可能です。座学と実地で ①土地の準備 ②土起こし ③種子の収集 ④種子処理 ⑤種植え ⑥間作 ⑦芽かき ⑧畝づくり ⑨除草 ⑩除草準備 ⑪液肥の準備と使用方法を学ぶことができます。今年は110人の農家が訓練に参加しました。


有機農法の研修

1-2エコセンター

エコセンターでは、低コストで簡単に農地へ導入できる、持続可能な農業実践法(SAP)が展示されています。多くの小規模零細農家たちが、土壌の質を向上させ、生産力を高めることができる有機農法を学ぶために訪れました。

今年度の栽培期間中には、1,200人の農家がエコセンターを訪れ、その内の約650人の農家が、エコセンターで学んだ技術を自分たちの農地で活かしています。


エコセンター見学

1-3CORCC の発展 ※ Chetna Organic Reserarch & Conservation Center

支援地域内ではチェトナ有機農業研究・保全センター(CORCC)が運営されています。センターでは、土壌内の水分量管理、有機堆肥の作成、持続可能な農業実践法(SAP)の実践などが行われています。それらの活動から、農家たちは有機農法転換に必要な知識と技術を学ぶことができます。その他にも、非遺伝子組み換え種の綿花種子の栽培や、 野菜と果物の栽培、バイオマス苗床の育成が行われています。今年度は、376人の農家が見学のために訪問しました。

CORCCは太陽光から電力を得ており、太陽光を用いた灌漑設備で作物に水を与えています。今年度では、センターの電灯、扇風機にも太陽光が使われるようになり、スタッフが夜間に作業をすることができるようになりました。


太陽光灌漑施設

1-4シードバンクの設立

過去に政府機関によってハイブリッド種子を用いた農業が推し進められ、市場で地域原産の種子が入手困難となった結果、いくつかの種が絶滅の危機に瀕しています。そのため、地域原産の種子の増殖と保存を目的としたシードバンクが設立されました。

今年も、PBPの支援の下、 Telangana州とOdisha州にあるシードバンクでは、種子の増殖と品種の保存活動が、継続されました。


地域原産の種子の展示

1-5種子キットの配布

7,500人の小規模農家や、公的支援を受けられない貧しい農家に種子キットが配布されました。従来、野菜や果物の消費が少ない地域であったため、トマト、唐辛子、オクラやナスなど栄養が豊富な食糧を栽培することは、世帯の食生活改善に繋がりました。バイオマス種子は土壌の質を高め、飼料種子は家畜の餌となり、その家畜からより多くの乳を得ることができます。


野菜の栽培

1-6シードメラ(種祭り)と国内イベント

Telangana州とOdisha州で、チェトナはシードメラというお祭りを開きました。シードメラでは、有機農業を営んでいる農家とその家族が地域の土壌に適している地域原産の種子を展示し、その種子の保存と増殖活動を広めるための情報共有を行いました。その結果、遠隔地にある地域内でも、種子の保存や増殖活動の推進が始まりました。

より多くの農家に地域原産の種子を広めるために、従来通りの農法で農業を行っている農家たちを、シードメラに招待し、農業で使用する種子の重要性と、彼らの村で地域原産の種子を増やす必要があることを伝えました。

非遺伝子組み換え種(Non-GM)の綿花の種の増殖・保存のために、農家間で地域原産の種子が交換されました。その結果、多くの品種の種子が増加しました。


種の展示

1-7多様な生産システムの推進

Telangana州とOdisha州に住む農家の家族は、綿花栽培以外で副収入を得る活動を行っています。ヤギの飼育、養鶏、家庭菜園が生産活動の一部に組み込まれ、農家の生活水準を底上げすることができました。
各活動の詳細は以下の通りです。

ヤギの飼育

ヤギは短期間で数を増やすことができ、飼育する世帯はヤギ肉や乳といった栄養のある食糧を得ることができます。各農家の家庭にオス1匹とメス4匹で組まれたセットが与えられました。当初50頭だったところ、130頭に増えました。その他にも、ヤギの糞尿は、有機農業の堆肥としても使うことができ、土壌の質の向上に役立ちます。


ヤギの飼育

養鶏

母子家庭である女性50人を対象に25羽のニワトリが支給されました。女性たちはタンパク質が豊富である卵と鶏肉を家庭で消費する一方、育てたニワトリとその卵を市場で販売し、必要な生活費を得ています。


養鶏

家庭菜園

母子家庭である100人の女性が家庭菜園を行えるように、野菜の種、果物と花の苗が支給されました。育てた野菜や果物は家庭で消費するだけではなく、市場で販売することで必要な生活費を得ています。


家庭菜園

1-8転換期間中である農家への創業支援

チェトナは、有機農業への転換に関心を示し、積極的に協力している農家たちが、有機農法に転換できる機会を与えています。有機農家であることを示す証明書や、その他の必要物資が与えられ、今年度は、新たに1,000人の農家が有機農法転換支援を受けました。農家たちは、栽培期間前、栽培期間中、収穫期間後に、持続可能な農業実践法(SAP)を学ぶために研修を受け、内部監査・外部監査ともに完了しました。昨年転換1年目であったすべての農家が、転換2年目に突入する予定です。


農家への研修

土壌試験

土壌試験は、転換1年目と3年目に実施されます。今年は、転換1年目である50人の農家から土壌サンプルを収集し、土壌の現在の状況を知るために、研究所で分析が行われました。分析結果に沿って、農家は持続可能な農業実践法(SAP)を用いた土壌の質改善策を学びました。チェトナの技術チームが派遣され、農家が直面している問題を克服するためのサポートを行っています。転換3年目に再び行われる土壌試験で、農家は有機農法のメリットを実感することができるでしょう。


土壌サンプル収集

1-9農具貸出センター

チェトナは、負担の多い農作業を行っている女性支援のために農具貸出センターを設立しました。農作業における女性たちの負担を軽減し、作業効率を高めることができるよう脱穀用の扇風機、水の散布に使える手押し車、草かり鎌や、その他の農業用器具の貸し出しが開始されました。実際に、それらの農業器具を用いることで、女性たちが農業にかけていた時間の20%を節約することができ、その時間を家族のために使うことができるようになったと報告されています。


雇用センター

2子どもたちの就学・復学・奨学支援

2-1奨学金支援

経済的理由により退学した子どもたちに奨学金を支給しています。今年度は、30人の学生に奨学金を支給しました。奨学金を受け取った多くの学生は、女子生徒であり、彼女たちがコンピューター応用技術の習得や、農業や教育の学位を取得するのに必要な授業料に充てられました。


奨学金をうける生徒

2-2職業訓練

Telangana州とOdisha州に住む、職に就けていない50人の若者が、職業訓練施設に登録し、就労に必要な技能を身に付ける職業訓練を受けました。50人全員が訓練コースを終え、証明書を取得しました。また、訓練を受けたほぼ全員が新たな仕事を見つけ、必要な収入を得ることができています。


職業訓練

2-3子どもの権利キャンペーン

子どもの退学率が高いTelangana州とOdisha州に住む世帯の子どもとその両親に、子どもの権利や教育の大切さを知ってもらうために、子どもの権利キャンペーンが行われました。
今年度は、20ものキャンペーンが行われ、文系・理系の異なる学級から10,331人の子どもが参加しました。学校に通えていない子どもの家庭には、教師やコミュニティーリーダーと共に足を運ぶ訪問活動を行いました。


子どもの権利キャンペーン

2-4校内スポーツ大会

子どもたちにスポーツの楽しさを教えるために、チェトナは学校内で様々なスポーツ大会を開催しました。体を動かすのが好きな子どもたちが集まり、ルールの説明会を行いました。スポーツ大会は、インドの共和国記念日(1/26)、独立記念日(8/15)、1年記念日(10/2)の3日間で開催されました。スポーツゲームに勝利した生徒達には、彼らのこれからの活躍への願いを込めて賞が与えられました。


校内スポーツ大会

2-5学校との架け橋 ブリッジスクールの運営

子どもの退学率が高い地域では、教育からドロップアウトした生徒が普通学級に復学できるように学習を行うブリッジスクールが運営されています。今年度は、44人の男の子、16人の女の子が学習に参加し、計60人中25人の子どもたちが普通学級に復学しました。

ブリッジスクールとは ?

それまで読み書きをしたことがなかった子どもたちが、学校に通うようになっても授業についていけず、また農業労働に戻ってしまうケースがあります。こういった子どもたちの支援のための補習学校が「ブリッジスクール」です。


ブリッジスクールで学ぶ子どもたち

2-6科学・農業・文化展示会

子どもたちの学習意欲を高めるため、科学実験の実演や展示会、MAAD活動(音楽、農業、芸術、ダンス)を実施しました。子どもたちは学習を通して、自文化への理解を深め、彼らを取り囲む社会的・政治的環境の視野を広げています。

チェトナは、化学、文化学、ジェンダー学の授業を担当している教員の力を借りて、校内展示会を開きました。生徒たちは、有機農業がテーマである音楽とダンスを披露し、他の子どもたちに有機農業の魅力を知ってもらいました。


校内の文化展示会

2-7補助教員の採用

学校では、質の高い教育を提供するための手段としてMAAD活動を推進しています。MAAD活動実施に伴い、一般教員を補助する役割として17人の補助教員を採用しました。彼ら全員が、補助教員になるために研修を受け、生徒と学校からの学びのニーズに応えてきました。授業を受けた子どもたちは、音楽、芸術、農業、ダンスの活動に興味を示し、学んだことを様々な場で発表しています。この活動の結果、政府関係者から、子どもたちのこれからの活躍を願いを込めた賞が与えられました。

MAADとは?

子どもたちの個性を発揮させることを目指し、音楽(MUSIC)、芸術(ART)、農業(AGRICULTURE)、ダンス(DANCE)を学べる課外授業をMAADと呼びます。この授業を通して、子どもたちにジェンダー平等、人権、子どもの権利、歴史や文化の大切さを教えることができます。


パラティーチャーによる授業


ディベート大会

2-8綿花栽培農家の子どもに必要なライフスキルの育成

Telangana州の2か所で、服の仕立て屋になるための職業訓練校が建てられました。そこでは、教育を継続するのが困難で退学してしまい、職に就くことも難しい30人の女性に加え、その他の理由で学校を退学した男女が、服の仕立てに必要な技術を学ぶ訓練を受けました。職業訓練終了時には、技術を習得したことを確認するための試験が行われ、合格した生徒には証明書が与えられました。その後、訓練を受けたほとんどの女性が、支援団体からミシンを購入するための支援を受け、自宅で縫製の仕事ができるようになりました。


起業した女性

pagetop